人工透析と食事管理について

人工透析とは、機能が衰えた腎臓機能を人工的に代替することですが、完全に腎臓の働きを代行する能力はありません。
尿毒症や合併症を防ぐには、日々の食事療法などで働きを補助する必要があります。

食事制限が必要なもの

リン

加工肉

リンが体内に蓄積されると、動脈硬化が進み、脳梗塞や心筋梗塞の原因になります。
また骨粗鬆症の原因にもなります。たんぱく質やカルシウムの豊富な食品にはリンが多く含まれるため、摂取を制限し過ぎると低栄養状態に陥ります。

カリウム

野菜

カリウムが体内に蓄積されると、高カリウム血症でしびれ感や嘔吐のほか、不整脈による心停止が起きる可能性があります。

塩分

漬物

食事で摂りすぎると高血圧やむくみが起こります。
また塩分をとると水分も欲しくなり、水分制限にも支障が出ます。

水分

ラーメン

尿を作り出せなくなっているので、水分が体に溜まりやすくなります。
むくみが起こり心不全など合併症のリスクが出てきます。

タンパク質の摂りすぎに注意

炭水化物(糖質)と脂質は分解されたあとに老廃物が出ないのに対して、タンパク質は分解されると老廃物が出ます。
通常は血液中に溜まった老廃物は尿から排泄されますが、腎臓の機能が衰えている場合、尿中に老廃物を排泄することができず体の中に溜まってしまいます。
自分に必要な摂取量を把握し、老廃物の原因となるタンパク質の過剰摂取には気をつけましょう。

エネルギー(カロリー)不足に気をつける

 エネルギーが不足すると、体は体内にあるタンパク質を壊してエネルギーに変えようとします。
壊れたタンパク質も老廃物となってしまいますので、炭水化物と脂質を充分にとり、エネルギー不足にならないようにしましょう。

人工透析中の飲酒・喫煙について

肝機能が正常であれば、定められた範囲内の水分量で飲酒をすることはできます。
喫煙に関しては傷つきやすくなっている透析患者さんの血管に対して、さらに悪い影響を及ぼすためやめておいた方が得策です


各栄養素の1日の摂取目安量の値について

当サイトでは、各栄養素の1日の摂取目安を下記の計算式を用いて算出しています。(表1)
この計算式に用いた数値は慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版(表2、表3)を参考に、当サイトが独自に決定したものです。
当サイトで使用する数値は、透析患者さんの一般的な摂取目安量であり、エネルギーや栄養素の適正量は各個人の性別、年齢、身体活動度、病態などによって変わります。
医師の指示のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従っていただきますようお願いいたします。

表1:1日の摂取目安量の算出方法

項目 透析食.com 計算式
エネルギー 32kcal×標準体重
たんぱく質 1.0g×標準体重
水分 15ml×ドライウエイト(kg)※
塩分 6g未満
カリウム 2000mg以下
リン たんぱく質(g)×15以下
標準体重(kg) 身長(m)²×22

※ドライウエイトの入力がない場合は、800ml(固定)で表示

表2:CKD ステージによる食事療法基準

ステージ(GFR) エネルギー
(kcal/kgBW/日)
たんぱく質
(g/kgBW/日)
食塩
(g/日)
カリウム
(mg/日)
ステージ1
(GFR≧90)
25~35 過剰な摂取をしない 3≦ <6 制限なし
ステージ2
(GFR 60~89)
過剰な摂取をしない 制限なし
ステージ3a
(GFR 45~59)
0.8~1.0 制限なし
ステージ3b
(GFR 30~44)
0.6~0.8 ≦2,000
ステージ4
(GFR15~29)
0.6~0.8 ≦1,500
ステージ5
(GFR<15)
0.6~0.8 ≦1,500
5D
(透析療法中)
別表

注) エネルギーや栄養素は,適正な量を設定するために,合併する疾患(糖尿病,肥満など)のガイドラインなどを参照して病態に応じて調整する。 性別,年齢,身体活動度などにより異なる。

注) 体重は基本的に標準体重(BMI=22)を用いる。

表3:CKD ステージによる食事療法基準

ステージ5D エネルギー
(kcal/kgBW/日)
たんぱく質
(g/kgBW/日)
食塩
(g/日)
水分 カリウム
(mg/日)
リン
(mg/日)
血液透析
(週3回)
30~35 注1,2) 0.9~1.2 注1) <6 注3) できるだけ少なく ≦2,000 ≦たんぱく質(g)
×15
腹膜透析 30~35 注1,2,4) 0.9~1.2 注1) PD除水量(L)×7.5
+尿量(L)×5
PD除水量
+尿量
制限なし 注5) ≦たんぱく質(g)
×15

注1)体重は基本的に標準体重(BMI=22)を用いる.

注2)性別,年齢,合併症,身体活動度により異なる.

注3)尿量,身体活動度,体格,栄養状態,透析間体重増加を考慮して適宜調整する.

注4)腹膜吸収ブドウ糖からのエネルギー分を差し引く.

注5)高カリウム血症を認める場合には血液透析同様に制限する.

<慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版より抜粋>


各栄養素のカテゴリについて

当サイトで使用している「低リン」、「低カリウム」、「低塩分」、「高エネルギー」、「低エネルギー」、「高たんぱく質」、「低たんぱく質」のカテゴリについては、当サイトが独自に決定した1レシピあたりに対する栄養素量の基準(表1)をもとに分類しています。 1レシピあたりに対する栄養素量の基準は、同じく当サイトで独自に使用している人工透析患者の1日の摂取目安量(表2)より算出しています。

表1:1レシピあたりに対する栄養素量の基準

項目 透析食.com 計算式 透析食.com
標準値
1品あたりの栄養成分
(複数品の献立の場合)※2
1品あたりの栄養成分
(1品献立の場合)※3
エネルギー 32kcal×標準体重 1792kcal 199kcal 597kcal
たんぱく質 1.0g×標準体重 56g 6g 19g
水分 15ml×ドライウエイト(kg)※1 840ml 93ml 280ml
塩分 6g未満 6g 1g 2g
カリウム 2000mg以下 2000mg 222mg 667mg
リン たんぱく質(g)×15以下 840mg 93mg 280mg
標準体重(kg) 身長(m)²×22 56kg - -

※1 ドライウエイトの入力がない場合は、800ml(固定)で表示

※2 透析患者平均年齢、年代別平均身長及び体重他を参考に算出

※3 1食3品ずつとして、標準値÷9で計算

※4 1食1品ずつとして、標準値÷3で計算

表2:人工透析患者の1日の摂取目安量

項目 透析食.com 計算式
エネルギー 32kcal×標準体重
たんぱく質 1.0g×標準体重
水分 15ml×ドライウエイト(kg)※
塩分 6g未満
カリウム 2000mg以下
リン たんぱく質(g)×15以下
標準体重(kg) 身長(m)²×22

※詳しくは「1日の摂取目安量について(リンク)」のページをご確認下さい